猫白血病闘病記、治療編です。
前回の「発症時の症状と確定診断までの記録」の続きです。
猫白血病の治療
猫白血病の治療は、抗がん剤を使うかステロイド投薬をするかの2択です。
抗がん剤は人間と同じように副作用があるけど、がん細胞の増殖を防ぐからステロイド投薬より強いもの。ステロイド投薬はリンパ腫を小さくするもので副作用はあまりないけど、その分弱いと病院で説明を受けました。
確定診断が出るまでのステロイド投薬によって瞳孔の大きさも戻って少し元気を取り戻していたのに、確定診断が出た頃にはまた瞳孔の大きさも異なり、元気もなくなってきました。
確定診断が出たあと、今後どうするかを決めるためにかかりつけの病院へ行った際も、車の中で開口呼吸になってしまうレオ。
病院でもレントゲンを撮るために少し押さえられただけで再び開口呼吸をし、酸素室へ入れられていました。
レオはもともと臆病な性格で、来客時は2階まで逃げてさらにベッドの下へ潜り込んでしまうほど。病院が相当負担になっていると思いました。
抗がん剤は使用せずステロイド投薬に
抗がん剤は注射と点滴なので病院へ預けることになります。また、検査もするので週に1回か2回は病院へ通うことになります。
「絶対に血管へ入れないといけないため、多少押さえつけることになります。そのときに腫瘍が気道を圧迫して息ができなくなるかもしれません。ショックで心臓が止まってしまう可能性もあります。麻酔を使うと目覚めないかもしれません。抗がん剤治療はレオちゃんにとってかなりの負担になるのは間違いないです。」
と獣医師に言われ、そもそも効きにくいとも言われている抗がん剤を使う気になれませんでした。
もともとはできることはやってあげたい!と思い、抗がん剤治療を受けるつもりで確定診断まで検査しました。
でも、これ以上苦しめたくないとも思ってしまった……。副作用もつらいだろうし。。
しかも、レオは抗がん剤を使用しても伸びる寿命はたった半年程度。そもそも白血病は治る病気ではないし、何度も苦しい思いをしても完治という成果も得られない。
家にいても開口呼吸をするときはあったのですが、この頃は1日に1回あるかないか。それを通院となると、1日に何回開口呼吸をするようになるのかと……。
猫は人間や犬と違い「鼻呼吸」をすることが普通の動物です。口を開けて呼吸をしている場合、非常に苦しい症状であることが多く危険なサインとも言えます。
日本動物医療センター
この日撮ったレントゲンを見てわかったのですが、ステロイドを飲み続けていたのに腫瘍の大きさに変化はありませんでした。
一旦回復したけど再び元に戻ったのか、それとも最初から変化がなかったのかはわかりませんが、もう薬の効果もほぼないということもわかりました。
気休め程度のステロイド投薬ですが、ひとまず続けて、もう通院はせずこのまま自宅で過ごさせることにしました。
酸素室を設置して少しでもラクにさせた
呼吸が苦しいのを緩和させてくれる酸素室。病院からの勧めで用意しました。
名古屋市内なら配送・設置料が無料の「協栄工業株式会社」さんでレンタルしました。電話した翌日に持ってきてくれました。
酸素ハウスのレンタルは、他に有名なのはテルコムさんですね。
レオは警戒心が強いからかなかなか酸素ハウスに入らなかったのですが、同居猫のうにが先に入ってくつろぎ出しました。
まるで、大丈夫だぞ、って伝えているようでした。
最初はチャックを開けて自由に出入りできるようにしていました。
その後、開口呼吸をしたときに酸素室に入れたりと、使用していくうちに入るとラクなのがわかったのか、開けておけば自分で入るときもありました。
ケージに入れられるのは大嫌いなはずなのに。鼻に傷がつくほど暴れていたのに。よほど苦しいのかな。。
ただ、酸素を充満させるためには扉を閉めてビニールのチャックを閉めないといけないのですが、扉を閉めると出ようと暴れてしまう。そして写真でわかる通りケージは上部が開いているので、ジャンプして出てきてしまう。
念の為、と貸していただいた蓋をつけてもこじ開けて出てきてしまうし、結束バンドで蓋を固定するとガシガシ開けようと必死になり、結果的に興奮して開口呼吸になってしまうときもあったので、我が家はドアを開けっぱなしにしていました。
出たいときは出ればいい。好きなところへ行けばいい。自宅なんだから、自由に過ごさせようと思いました。
でも、最期が近づいてきた頃、1日中開口呼吸になってしまうほど苦しくてしょうがないはずなのに、それでも酸素ハウスには入ってくれなくて。閉じ込められるということがよっぽど嫌いみたい。
さすがに放っておけなくて、付属の酸素チューブを使っていました。これをつけると口を閉じて呼吸できるんです。
これをリビングのラグの上に固定して置いていたら、どこか移動したあとは自分で顔を突っ込んで酸素を吸うようになりました。楽になると分かったのだと思います。
その姿もね、健気でね、生きようと必死でね、思い出すと泣けます。
白血病猫ちゃんに酸素はぜひとも用意してあげて欲しいです。今思えば、酸素があったから最期は穏やかだったんじゃないかなと思います。
ステロイドが効いて穏やかな日々
話が少し前後しますが、ステロイドは1日1回、朝に投薬していました。ご飯に混ぜると食べないし、病院で買ったちゅーるポケットは食べないし、口をこじ開けてポイッと入れる方法が1番早くてスムーズでした。
↑ちゅーるポケットは少し大きいですね。ちぎってあげると食べるので、結局ただのおやつになってしまいました。
酸素室をレンタルして1週間が過ぎた頃、落ちていた食欲が戻り、開口呼吸もしなくなりました。走り回ったりはしないけど、普通に、穏やかに過ごしていました。
このまま悪化してあっという間に……と家族全員覚悟していたのもあり、とても不思議だったけど幸せな日々でした。
ご飯を食べない時期に試行錯誤でいろんな種類のご飯を与えていたのですが、お気に入りはやはりちゅーる。エナジーと総合栄養食を食べていました。
あと、モンプチのパウチも好きでした。臭いが結構きつめだから食欲がわくのかもしれません。
発症してからは階段を登るのがつらいのかほぼ1階にいたけど、この頃は2階の寝室まで自分で上がってきて一緒に寝ていました。朝起きると無言で見つめられているのも久しぶりだったなぁ。
薬がなくなったので病院へもらいに行くと、受付のお姉さんに近況を聞かれたのでそのまま伝えました。(レオは連れていきませんでした)
「猫らしい生活ができているんですね」と穏やかな笑顔で言われ、すごく嬉しくなりました。
この頃の酸素室は、返すべきか迷うくらい使用していませんでした。
隠れて寝るようになり、ご飯を拒否するようになった
発症から40日が経った頃、クローゼットの中で隠れて寝るようになり、ご飯を拒否するようになりました。
猫は体調が悪いときに敵に見つからないように隠れて体を休めるらしいので、苦しいのか、痛いのか、何か変化があったのだと思います。
そして、1番驚いたのがちゅーるを顔に近づけると首をふりふりし、まるで小さい子供がいらないとジェスチャーするような仕草をしたこと。
違う味のトロトロ、カリカリ、カリカリをふやかしたものなど、いろんなご飯をあげてもダメ。おやつも拒否。
ちゅーるを指にとって口の中に入れると食べるけど、飲み込むのがすごくつらそうでした。喉に何か詰まっているかのような、ごっくん、とするのに全力というか。。
その後も拒否するし、ああ、もう終わりが近いのかな、と思いました。
食べることが大事だということはわかっていたので無理矢理にでも口に押し込もうか、病院へ点滴だけでもしに行こうか、など迷ったけど、↓この記事を読んで自然に任せることにしました。
この頃のケアは、この本がとても参考になりました↓
緩和ケアでできることが書かれていて、酸素もそうですが部屋の配置変えなどもやれたので、この本は購入してよかったです。
猫白血病の最期は意外と穏やかでした
ご飯は食べないけど、水は自力で飲んでいました。薬はご飯を食べなくなったと同時にやめました。
ぽっちゃりだった体が骨と皮になってしまい、歩くときはふらつくこともあったけど、私が料理をしているとキッチンまで見にきたり、窓まで外を眺めに行ったりと、発作などもなく穏やかに過ごしていました。
普段はリビングで酸素マスクに顔を入れて横になっていました。自分で酸素マスクに帰っていくんです。
トイレは失敗するものだと思っていたけど、少しはみ出すくらいでした。最期の日も自力でトイレまで行けていました。
5月12日の夜、水を飲んで帰ってくるときに呼吸が荒くなりました。今までの呼吸と違ったので抱き寄せて様子を見ていたら、しばらくして呼吸が止まりました。
痙攣もなく、血を吐いたりもなく、呼吸困難やのたうち回るような発作もなく、眠るようにというわけではなかったけど、穏やかに逝けたのではないかなと思います。
白血病猫の看取りをして感じたこと
なぜ発症してしまったんだ、病気が憎い、という気持ちが消えないのは当然なのですが、これで良かったのかな、と思い返すことがあります。
あのとき抗がん剤を使うことにしていたら、きっとまだレオは生きている。でもその分体に負担がかかるのは間違いないので、毎日が辛い日々になったのかもしれない。
大嫌いな病院に通うことになるけど、それでもまだ生きたいと思っていたかな?って思い返すこともあるけど、でも最期が近づくにつれて辛そうで苦しそうで、レオ、十分頑張ったよ、強いね、おりこうだね、もう頑張らなくていいんだよ、と言ってしまうことも。
何が正解なのかわかりませんが、白血病は治ることがないから遅かれ早かれ結果は同じになってしまう。。それでも、最期は穏やかに私の腕の中で逝ってくれたことだけは良かったのかなと思います。
発症してからは悲しくて毎日泣いてばかりでしたが、天国へ行って1ヶ月近く経ち、やっとレオの写真を見返すことができるようになりました。
きっと今頃は天国で大好きなご飯をたっくさん食べて、今まで通り元気に走り回っているはずです。
レオ、我が家に来てくれて、癒やしの時間と笑顔をたくさんくれてありがとう。ずっとずっと大好きだよ。ありがとう。
コメント
コメント一覧 (4件)
理想的なお看取りだと思いました。
うちの場合は犬がリンパ腫になりました。
いろいろ諦めきれず、抗がん剤治療を続けましたが後悔しています。病気のせいでしんどそうだったのか、抗がん剤の副作用のためだったかわかりませんが苦しそうで、もっと穏やかに過ごさせてあげればよかったと今でも思います。
レオくんの意思を尊重してあげて、愛情に包まれて、レオくんは幸せだったと思います。素敵な飼い主さん。
うちにはエイズキャリアの保護猫がいます。発症せず天寿を全うしてもらうのが1番ですが、その時がもしもきた時は、あやさんと同じようにできたらいいなと思いました。
匿名さん、コメントありがとうございます。また、そう言っていただけて救われます。
諦めきれない気持ちはとてもわかります。正解がないし、私も毎日毎日悩みました。
ただ、抗がん剤治療をしたのはわんちゃんを想っての行動だということは間違いないですよね。
その想いはきっと伝わっていると思います。少しでも長い時間一緒にいれたなら、わんちゃんにとって幸せな時間だったと思いますよ。
保護猫ちゃん、発症しないといいですね。治せない病気は本当に辛いです。。
匿名さんご家族が、毎日穏やかに過ごせますように。微力ながら願っております。
はじめまして。
コメント失礼致します。
我が家も保護猫として家族に迎えた男の子が今年の7月中頃、白血病の診断を受けました。うちの子の場合は猫白血病に起因する再生不良性貧血で、既に発症している、一週間もつかどうか…と言われ血の気が引いたのを覚えています。
レオ君と同じく、私も保護主さんからは猫白血病、エイズ共に陰性だと伺っていた為「そんな筈はない」「何かの間違いでは」と頭が真っ白になりました。
我が家にも11歳と高齢ではありますが先住猫がいる事、発症時生後11ヶ月とレオ君と月齢が近かった事などから、あやさんとご家族の悲しみ、葛藤に共感の嵐で、泣きながら読ませて頂きました。
レオ君はきっと、あやさんの家族になる為に生まれてきたんだと思います。
短い一生ではありましたが、大好きな家族の腕の中で眠れた・・・本当に幸せな猫ちゃんです。
うちの子もどうかどうか、私の居る時にその時を迎えられるよう願っています。
お辛い経験をブログと言う形で残して下さり、ありがとうございました。
私も含め、同じく猫白血病の家族を持つ飼い主さん達にとって貴重な情報になります。
まだまだお辛い時期かとは思いますが、あやさんとそのご家族、天国のレオ君の幸せを心から願っております。
長文失礼致しました。
ハナさん、温かいお言葉をありがとうございます。
白血病の診断を受けたのですね…そして先住猫ちゃんもいるなんて、うちと全く同じ状況で…お辛いですよね。
本当に、何かの間違いではないか、嘘ではないか?と信じられないお気持ち、とてもわかります。
奇跡が起こって治るのでは?なんて淡い期待をしたこともありました。
私もハナさんが居るときにその時を迎えられるよう、遠くからですが祈っております。
でも、もしそうならなくてもハナさんの猫ちゃんを想う気持ちは絶対に伝わっています。
愛されて幸せな一生だったと思うはずです。猫は賢いし優しいから絶対わかってくれます。
ハナさん家の猫ちゃんが、苦しまず、最期まで穏やかにのんびりと過ごせますように。
お辛いのにコメントいただきありがとうございました。
レオが幸せだったと言っていただき救われます。